持病だった心臓の病気・WPW症候群をカテーテルアブレーションで治療しました。
WPW症候群という心臓の病気を持って生まれてきました。
発症したのが、1992年11月25日、小学校6年生だったのですが、朝の体育の授業中に突然脈拍が速くなり、よくわからないまま授業を受け続け、普通に歩いて帰宅しました。
帰宅後も、ほっといたら落ち着くだろうと思っていたものの、なかなか収まらず、夜になって病院に行き、応急措置をしてもらい、その日は即入院となり、5日後に退院しました。
この病気の所為もあり、中学・高校では水泳やマラソンの授業はいつも見学組でした…
それ以降大人になっても特に発作もなかったのですが、心電図を取るとやはり「WPW症候群」と出力され、潜み続けていました。
ところが昨年の春先からどうにも脈拍が速く、100bpmを超えることが多いのが気になっていて、継続的に近くの大学病院に通院して診てもらっていました。
今年2月にインフルエンザにかかった際にこの発作が起きてしまい、この手術を前向きに考えるようになりました。
手術を決心しました!
一つ前の記事にも書いていたのですが、
通院する度に先生に「若いうちに治しといた方がいいよ」と言われていたのですが、部位が部位なだけに、どうにも決心がつかず、ようやく仕事が落ち着く目処が立ったこともあって、思い切って5月の通院の時に手術をお願いして、7月11日入院、12日手術というスケジュールになりました。
そもそもWPW症候群って何?
心臓には「正常伝導路」があり、それが動かしているのですが、さらに「Kent束」という副伝導路ができてしまっていて、時折発作的に200bpmを超える頻脈を起こすという先天性の病気。
今回はこの「Kent束を」カテーテルで焼き切る手術を受けました。
入院までに用意していたこと
「国民健康保険限度額適用認定証」を入手
健康保険には「高額療養費制度」というものがあり、
月の医療費が高額になった場合、一定額を越えた分が数ヶ月後に払い戻されます。
今回のように医療費が高額になりそうな時に、この「限度額適用認定証」を手に入れておくと、払い戻される金額分も差し引かれた上で病院から請求されるので、負担が軽くなるという代物。
僕は国民健康保険なので、区役所に行って手に入れておきました。手続きは10分くらいでした。
この認定証のあり/なしで負担額がどのくらい違うのかは後ほど。
生命保険の入院・手術費の請求書の取り寄せ
保険の担当に事前にもらっておいて、後は退院後に発行される領収書・診療明細書のコピーと合わせて送るだけの状態にしておきました。
いざ、入院!1日目。
手続きの後、病棟へ。荷物を片付けて、入院生活が始まりました。
入院早々、検査やらなかなか忙しい感じでした。
小型の心電図をつけられる
胸に電極を付けられて、この小さい送信機からナースステーションのモニターに心拍数や波形が出力されます。
採血
病室のベッドの上でたっぷり4本…
心電図
これはもう慣れたもんです。
レントゲン
正面から1枚、横から1枚。
剃毛
カテーテルを刺す時に邪魔になるのと、
カテーテルを刺した後テープでぐるぐる巻きにされてしまうので、毛を剃られてしまいます。
首の下から膝の上まで、電気シェーバーで剃られてしまいました…
その日の担当が若い女の子の看護師さんだったもので、とても恥ずかしかった。。看護師さんは慣れたもので淡々と剃っていました。。
同意書にサイン
先生にこんな手術するよ、という説明と、リスクなどなどを説明されて、サインをします。
最悪の事態も説明されるのですが、結構怖いことを書いていて、不安が募ります。
病室の眺めはこんな感じ。窓際だったのがまだ救い。
晩ごはんを食べて、そんなこんなで1日目はおしまい。
2日目
朝から手術となりました。
顔洗って、歯磨いて、手術着に着替えて、と準備を整えていくのですが、この準備が苦行でした…
点滴
今までこの病院で失敗されたことがなかったのに、若い看護師さんに失敗されてしまい、3回目、別の先生の手によりようやく上手く行きました。失敗されたところは痣になってしまっています。まだまだ消えなそう…
尿道カテーテル
手術後は血栓が巡ってしまわないよう、暫く体が動かせなくなり、トイレにもいけないので「おしっこの管」を入れられてしまいます。今まで経験がなく、実は手術より一番恐れていました…
下着を下ろし、深呼吸している間に、男性の医師と、女性の看護師さんに見守られる中入れられてしまいました。。
割と太い管だったので、痛いかな、と思っていたのですが、変な違和感のみで、さほど痛みは無かったです。
いよいよ手術
※実際はこの手術室ではありません…
8時50分過ぎ、ストレッチャーに乗せられて、カテーテル室に運ばれていきました。
カテーテル室には、10人ほどのスタッフがいて、いろんな機材に、60インチ以上はありそうな大きいディスプレイが設置されていて、左上に僕の名前が出力されていました。術中の画面は見えなかったのですが、恐らく心臓の様子が出力されていたものと思われます。
検査着を半身剥がされ、背中にペタペタとシールを貼られ、胸には心電図の電極を取り付けられ、右腕には血圧計がつけられ、酸素吸入器を鼻に掛けられ、さらに青い薄い紙製のシートに覆われ、準備が進んでいきます。
右足の付け根と首の根元に消毒液が掛けられ、点滴に鎮静剤が投与されて、ふんわりした気分になっていきます。
ふわふわとした気分のまま、カテーテルが右足の付け根と首元に刺されていき、治療が進んでいきます。
以降はあまり記憶に無いのですが、カテーテルが出入りしている時と、心臓の発作をわざとおこしている時、心臓を焼いている時がとてもしんどかったです。
時折「大丈夫ですかー?」と声を掛けられるのですが、鎮静剤でふわふわしていて上手く答えられませんでした。
全ての治療が終わったら12時30分でした。「明日退院するためですからね〜」と言われながら、カテーテルを刺していた所をギューっと押されたのが最高に痛かったです。
腰回りに止血用のガムテープのようなものを貼られ、取り付けられていた電極や背中のシールを剥がされて、手術は終わりです。またストレッチャーに乗せられて病室に戻りました。
5時間体が動かせない…
血栓ができるのを防ぐため、病室に戻ってから5時間は、体が全く動かせず、寝返りも打てませんでした。
腰は痛くなるし、踵も痛くなるし、寝てるだけなのにとても大変でした。
お昼ごはん
病室に戻っても意識がふわふわとしていたのですが、14時ぐらいに看護師さんが「お昼ごはん食べるー?」とパスタとサラダとリンゴジュースを持ってきてくれました。
体が全く動かせないので、看護師さんに食べさせてもらいました…
鎮静剤の影響で半分眠りながらだったのですが、美味しかったです。
ようやく少し起き上がれて、寝返りが打てるように
夕方18時頃になって目が醒めてきました。ベッドを45°まで起こしてもらえるようになりました。出された夕ごはんも自分で食べられました。
やっとiPhoneも触れるようになって大事な人たちに連絡を取りました。
でもやっぱり眠くて、19時過ぎには寝てしまいました。
3日目
朝ごはん
目覚めるともうほとんど術前と同じ体調に。普通に起き上がってごはんを食べました。
回診
今回の手術の主治医の先生がやってきて、カテーテルを刺した痕を診てもらいましたが、特に問題ないとのこと。
ずっと外来で診てもらっていた先生もやってきて、手術の様子を説明してくれました。
心臓に3つ、余分な回路があった模様で、2つはすぐ焼くことができたけど、それでは収まらず、もう1つが厄介な所にあって、回り込んで焼いたとのことでした。**「これで完治でしょうね」**と言われた時は涙が出そうなくらい嬉しかった。
おしっこの管も点滴も取れ、また検査ラッシュに。
採血
再びたっぷり4本…
心電図
レントゲン
正面から1枚だけ。
お昼ごはん
最高に美味しいお昼ごはんでした。
退院!
お昼ごはんを食べたら荷物を纏めて、退院となりました。手術したと思えないスピード退院でした。
今回の手術でかかった費用
退院時には精算が間に合わず、翌日精算となりました。
- 医学管理等 325点
- 手術 153,386点
- 診断群分類(DPC) 13,298点
- 入院基本料 70点
- 食事 1,800円
合計 95,938円でした。
窓口で聞いてみた所、3割負担だと60万円くらいになるところだったのですが、前述の「限度額適用認定証」のお陰で安く済みました。
10割負担だった場合を考えると、国民健康保険に払った3年分くらいを今回の手術で使った事になります。
さらに、生命保険から入院・手術給付金が20万円下りたので、10万円ちょっと得したことになります。
その後
退院後自宅に帰ってからは普通に過ごしています。ほぼ日課になっている**「あさんぽ」**も普通にしています。
手術後2日間くらいは脈が100bpm越えをしていました。
手術後3日目に徐々に収まっていって、概ね 70bpm程度に収まりました。
点滴を失敗された内出血と、右足付け根のカテーテルを刺した所の内出血が残っているのですが、これは徐々に消えていくと思います。
まとめ:やってよかった!
36年も抱え続けてきた心臓の病気とおさらばできて、とても清々しい気持ちです。
術前は何もしていなくても脈が速く、疲れやすかったのですが、疲れにくくなった気がします。
また、ちょっと歩くと心臓のあたりにチクチクとした痛みがあったのですが、それも取れて快適になりました。
今回の手術に関わってくださったスタッフの皆様、各所でご心配・応援頂いた皆様に改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました!